ZK 人間ドック受けてきました
42歳のころから毎年、この時期に人間ドックを受診するようになりました。
恒例行事化しているので、私にとってはちょっとした夏の風物詩のような感じです。
さすがに身体のあちこちにガタがきているようで、昨年あたりから再検査項目が少しずつ増えてきています。
まあ、身体は確実に老化していき、時間の流れが確かなものであることをはっきりと告げているということなのでしょう。
人間にとっては時間は有限であり、誰もみな例外なく自分の持ち時間を減らしながら生きている。その事自体を年に一度の人間ドックを通じて、実感するのもなかなか悪くない気がします。
さて、明日からまた日常に忙殺され埋没する日々に帰っていきます。
今日のドック受診は、ある意味、非日常的な時間空間であったように思います。
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BR 『数学でつまずくのはなぜか』 小島寛之
数学って、学生時代からちょっと苦手…っていう人、多いのではないでしょうか。
特に私みたいに根っからの文系人間って、たいがい高校時代に数学や物理に挫折して、文系に進んだというパターンでは?(えっ、やっぱり私だけですか、そんな意気地なしの人生を歩んできたのは…。)
そんな数学に対する挫折が、いったいどこから始まったのか、ターニングポイントはどこだったのか。この本で、そんな過去の自分をちょっと振り返ってみました。
いやあ、なるほど。そこで道に迷ったのか。
そんなことをこの本はちゃんと教えてくれました。そして、道に迷わない方法も、わかりやすく丁寧に。
しかし、そこは数学の本。だんだん後半に進むに従って少しずつ内容は難しくはなっていきますが、それでも筋道が明らかだから、読み手としては何となく「なるほど」と腑に落ちる感があります。
もうひとつ、数学って言えば、この年齢になって初めて数学への興味を持たせてくれた1冊。
数学ガール ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2009/10/27
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 37人 クリック: 930回
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この本に出会うまでは、恥ずかしながら、哲学と数学の共通項に全く考えが及びませんでした。何となく論理学が哲学と密接不可分であることは理解していたけれど、同時に数学においても重要な関係にあったとは。
冷静になって考えれば、ごく当然のことではあったのですが、根っからの数学アレルギーの私としては、そこは無意識に避けて通っていたのかもしれません。
ところが、哲学のおける不完全性定理を考えるうちに、本書と巡りあい、物語の面白さと内容の素晴らしさに感動して、一挙に数学への興味が湧いてきたのです。
内容的には確かに難解で、容易には太刀打ちできません。しかし、それでも面白い、面白いと思わせてくれる魅力があると思います。
文系のみなさんも、一度、数学に対する先入観を取り払って、数学も文系科目のひとつだぐらいの気持ちで、これらの本を紐解いてみてはいかがでしょうか。
きっと新たな発見があると思います。
それでは、また。
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ZK ブログタイトル変更しました
今まで、初期設定の「SOHSA'S blog」というブログタイトルだったのですが、あまりにシンプル過ぎるかなと思い、「本と音楽と珈琲の日々」に変更しました。
タイトルが変わると何か気分も変わりますね。
と言っても、書く内容はあまり変わらないのではとも思うのですが。
まあ、気楽に、読書録を中心に日々のライフログを兼ねて、書き連ねていきたいと思います。
そうそう、タイトルに「音楽」が入ったとおり、これからは音楽についてもちょっと書いていければと思います。音楽は、心の奥にしみこんで、喜びや悲しみといった感情を増幅したり、半減したりしてくれます。お気に入りの曲は何度でも、それこそ、すり切れるまで聴く、聴き込むことは誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
一方、読書は、と言えば、同じ本を何度も繰り返し読むことは、音楽に比べるとやはり少ない。特に小説は、一度読んでストーリーがわかってしまうと、二度と読まないということも多いのではないでしょうか。
個人的には、それがちょっと残念。本当に素晴らしい作品は何度読んでも、読むたびに新たな感動を与えてくれます。初読では気づかなかった伏線が二度目には明らかに見えてきたり、登場人物の心の機微やら変化やらが違って見えたり、作者の意図に気づいたり等々。繰り返し読むことで、多くの発見と様々な楽しみ方ができる、そんなことを考えながら、これからも読書を楽しんでいきたいと思います。
まあ、あまり難しく考えず、気楽に!が一番ですかね。
では、これからもどうぞよろしくお願いします。
BR 『哲学史のよみ方』 田島正樹
BR 『虐殺器官』 伊藤計劃
『ハーモニー』に続き、伊藤計劃作品読了2冊目でした。物語の順序から言えば、本作『虐殺器官』『ハーモニー』の順なのでしょうが。
近未来を描いたSF作品ですが、全体を流れる色調は、単にSFの領域のみには留まってはいないようです。
「人間は脳細胞だし、水だし、炭素化合物だ。とてつもなく長いけれど、ちっぽけなDNAの塊だ。人間は生きているときから物質なんですよ。その人工筋肉と同じように、ね。この物質以外に魂を求めたって、そこから倫理や崇高さが出てくるように思うのは欺瞞ですよ。罪も地獄も、まさにそこにあるんです」(P116)
神は死んだ、と誰かが言った。そのとき罪は、人間のものとなった。罪を犯すのが人間であることは不変だったが、それを赦すのは神ではなく、死に得る肉体の主人である人間となった。(P133)
人と 神との関係において、神の死の意味をこのように論じたことは、極めて興味深いのではないでしょうか。
「…。意識、ここにいるわたしという自我は、常に一定のレベルを保っているわけではないのです。あるモジュールが機能し、あるモジュールはスリープする。スリープしたモジュールがうっかり呼び出しに応答しない場合だってある。物忘れや記憶の混乱はそのわかりやすい例ですし、アルコールやドラッグによる酩酊状態もまた、その一種です。…わたしやあなたは、たえず薄まったり濃くなったりしているのです」……
言葉の問題なのです、と医者は言った。「わたし」とは要するに言葉の問題でしかないんです、いまとなっては。(P186)
自我とは何か、意識とは何かについて、作者は明確に述べています。
かなり思想的で哲学的です。そしてそれを非常にわかりやすく読み手に提示してくれています。
物語自体も、大変に面白く感慨深く、情緒的でもあります。また、最後まで読み終えて、タイトル『虐殺器官』の意味するところにやっと気づきました。本作は伊藤計劃のデビュー作でありますが、やはり作者の力が遺憾なく発揮された代表作であり、作者の思想が結晶化された作品であると思います。
いずれにせよ、日本SFの最高峰と言っても過言ではない作品であると思いました。
一読の価値ありの作品です。
しかし、つくづく作者の早逝が惜しまれます。
BR 『読書脳 ぼくの深読み300冊の記録』 立花隆
関東地方も一昨日、ついに梅雨入りしました。今日も朝から雨。これからの季節、休みの日には家でゆっくりと読書して過ごすのが一番かと。
ということで、立花隆氏によるブックレコメンド
この本は、実際に著者が読んだ本の中からおすすめを、読者が思わず買いたくなるように紹介した本です。立花隆というとどうも専門的で難解な本ばかり読んでいるのではないかというイメージがあったのですが、この本で紹介されている中には、比較的読みやすく柔らかめのものがたくさんありました。基本的にノンフィクションしか読まないと著者は言明されていますが、本書の中で著者が伊藤計劃の『虐殺器官』を読んでいたことを知り、親しみを覚えました。
本書を読み終え、もう一度、最初から頁を繰りながら、読んでみたいと思った本の紹介頁に付箋をつけてみました。以下はその一部です。
- 作者: スティーヴンオッペンハイマー,仲村明子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2007/08/31
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 79回
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- 作者: ボブ・ドローギン,田村源二
- 出版社/メーカー: 産経新聞出版
- 発売日: 2008/04/01
- メディア: ハードカバー
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- 作者: ジル・ボルトテイラー,Jill Bolte Taylor,竹内薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/02
- メディア: ハードカバー
- 購入: 35人 クリック: 221回
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- 作者: ジョン・W・モファット,John W. Moffat,水谷淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/11/20
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 52回
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- 作者: メアリアン・ウルフ,小松淳子
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2008/10/02
- メディア: ハードカバー
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様々な分野に広範囲にわたっていますが、乱読派の私にはもってこいといった感じです。そこから新たな視野が拓ける、そんな瞬間が私にとって読書の醍醐味でもあるのです。
ZK 5月中の読書のまとめ
あっという間に5月も終わり、今日から6月。梅雨入りもまもなくでしょうか。
降る雨を時折眺めながら、家で読書をするのもなかなか雰囲気があって良いかもしれません。
さて、5月中に読んだ本は14冊でした。読書ペースはあまり変わりませんでした。まあ、量より質ということで、とりあえず納得しておきましょう。
2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:2778ページ
ナイス数:749ナイス
グリーン・マイル〈1〉ふたりの少女の死 (新潮文庫)の感想
まさにスティーブン・キングといった見事な語り口の作品。敢えて分冊化することで、読み手の欲求を増幅させるアイディアも面白い。さて物語は始まったばかり、これからの展開が楽しみ。期待は膨らむばかりだ。
読了日:5月31日 著者:スティーヴンキング
文具を読む・文具本を読む 新興ブランド編
読了日:5月25日 著者:舘神龍彦
このころの片岡義男が個人的には一番好みだ。柔らかな風を感じながら、オフの日の午後に読むのが最適な、そんな小説だ。登場する女性がそれぞれに個性的で魅力的な美人でかつクレバーだ。男たちも皆いちようにカッコいい。実際にはあり得ないだろう心地よい景色を、片岡義男は読み手に巧みに見せてくれる。
読了日:5月25日 著者:片岡義男
覚えるだけの勉強をやめれば劇的に頭がよくなる 大人のアウトプット勉強法 (PHP新書)の感想
哲学者小川仁志による大人のための勉強法の本。内容は非常に分かりやすく明快だ。特に目新しいというものはないけれど、ひとつひとつがそれなりの確かさと説得力をもっている。「知のバージョンアップ」「優先順位の低いものを調整対象とする」「情報はきれいに整理するものではない」「集中力を高める究極の方法は、死を意識すること」。どの言葉も平易ではあるけれど、それぞれに深い。大人の端くれとして新たに勉強をしてみたいと思わせる本だった。
読了日:5月21日 著者:小川仁志
文具を読む・文具本を読む 老舗ブランド編の感想
文具好き、特にノートや手帳などのアナログ文具好きには、堪らない本だ。能率手帳、京大カード、ルーズリーフ、モレスキン、フランクリンプランナー等々、いずれ劣らぬ売れ筋文具ばかりだ。そして単なる商品紹介ではなく、それぞれの持つ思想を的確に解説している。しかし、敢えて(?)ほぼ日手帳を取り上げなかった意図はどこにあるのだろう。
読了日:5月18日 著者:舘神龍彦
40歳からの知的生産術 (ちくま新書)
読了日:5月18日 著者:谷岡一郎
乱読のセレンディピティの感想
著者の明晰な言説に胸の奥に溜まった澱がすっきりと流れた。今までの自分の読書の在り方に、それで良いのだと優しく囁いてくれたようで、力を貰った。読書は深い。人間の知も。「風のごとく、さわやかに読んでこそ、本はおもしろい意味をうち明ける。本は風のごとく読むのがよい。」(P67) すっと心にしみこむ印象的な言葉だった。
読了日:5月18日 著者:外山滋比古
桜の首飾りの感想
どの短編も桜をテーマにしたほんのりと香り漂う作品。1編1編がわずかに違う色合いを見せる桜の花びらのように、ほのかな彩りの違いを匂わせている。だが、それらは1本の糸に綴られ綴られ、全体はひとつの首飾りのように、別の美しさをもった作品となっている。作者千早茜氏については、正直なにも知らなかった。読み友さんのお勧めがきっかけとなり手にとった。作者の描く不思議なふわふわとした、あるいはひらひらとした、どことなく頼りなげな空気感は、淡く薄く静かな魅力を漂わせている。(→)
読了日:5月17日 著者:千早茜
最果てアーケードの感想
「人質の朗読会」「猫を抱いて象と泳ぐ」に続き読了3冊目。やはり小川洋子の描く世界には独特の空気感がある。そこを流れる風はどこまでも透明で、時間は流れるでもなく淀むでもなく、なんとなくそこに漂っている。本書「最果てアーケード」はまさに日常から隔絶された特別な空間のように感じられる。物語に登場する義眼屋、輪っか屋、紙店、勲章屋、遺髪専門のレース編み師、ドアノブ専門店。どれをとってもそれらひとつひとつは奇妙で興味深く愛らしい。そして著者の描く風景は、読み手の胸の奥深くに鮮やかにその(→)
読了日:5月12日 著者:小川洋子
プロフェッショナル原論 (ちくま新書)の感想
プロフェッショナルと呼ばれる職業の意義と価値、その行くべき方向性を説いた本。プロフェッショナルとは、単にその技能で金を稼ぐ者をいうのではなく、①特定の専門分野に関する深く高度な知識と技能を持ち、②特定のクライアントからの特定の依頼事項を解決することを業とし、③誰にも管理されず、組織に属さないフリーの立場であること、と述べる。そして働く動機は、「公益に寄与することを唯一の動機」と説く。これだけを聞いていると、まさにハードボイルドな職業なのだ。(→)
読了日:5月6日 著者:波頭亮
傷つきやすくなった世界で (日経プレミアシリーズ 2)の感想
平成18年1月から平成20年2月までの間にR25に連載されたものを1冊にまとめた石田衣良氏のエッセイ集。今から6~8年前に書かれたものであり、当時の世相がよくわかる。当時は、まさに自民党から民主党への政権交代前夜だった。格差社会やサービス残業、ネットカフェ難民など社会問題は山積していた。あの後の政権交代と再交代、東日本大震災を経た現在、本書が書かれた時と比べて何が良くなっているのだろうか。著者は、本書の中で日本社会の変化について「その過程で日本人の良識が働くだろうと、ぼくは信じているのだ」と(→)
読了日:5月6日 著者:石田衣良
2週間で小説を書く! (幻冬舎新書)の感想
本読みにとってある意味、小説家は憧れの職業でもある。本書『2週間で小説を書く!』はそんな私のような読み手の心を巧みにくすぐるようなタイトルの本だ。書店でタイトルに惹かれ、数ページをめくってみて、面白そうだと思い、購入した。もちろん、2週間で小説が書けるわけはないと思いながら。著者は小説家ではなく文学評論家とのことである。評論家の視点から小説の真髄と文章の書き方、具体的な訓練方法などを分かりやすく易しく解説してくれている。著者の語る結論として、誰でも小説は書ける(→)
読了日:5月5日 著者:清水良典
スターダスト・ハイウエイ (角川文庫 緑 371-2)の感想
『スターダスト・ハイウエイ』片岡義男の角川文庫赤背表紙の本とは約30年振りの再会(再読)だった。奥付を見ると初版が昭和53年10月30日となっている。当時、まだ高校生だった私にとって片岡義男の描く世界は、ちょっと大人の、それも見たことのないアメリカの広大な土地を乾いた風が吹き抜けていくような、そんな風景だった。片岡義男の赤背表紙は、『スローなブギにしてくれ』『彼のオートバイ、彼女の島』など映画化もされ、その後も続々と発刊された。本書は、そうしたシリーズの中でも比較的初期の作品だ。片岡義男(→)
読了日:5月5日 著者:片岡義男
セント・メリーのリボン (光文社文庫)の感想
山本周五郎賞受賞作「ダック・コール」に続き読了。表題作「セント・メリーのリボン」を含め計5作からなる短編集である。どの作品もそれぞれに独特の趣きと味わいがあるが、中でも秀逸なのは、やはり「セント・メリーのリボン」だ。読後に漂う香りはまさにハードボイルドそのものといったものであり、主人公はもとより筋立て、背景、伏線もろもろのすべてが格好好い。読み手の胸をぎゅっと熱くさせ、その後でほろほろと緩めさせる。その力加減がまた絶妙なのだ。日本には秀逸と言えるハードボイルド作品が少ない。しかし(→)
読了日:5月1日 著者:稲見一良
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