本と音楽と珈琲の日々

読書録、日々の出来事、雑感をつれづれに

BR 『ルサンチマンの哲学』 永井均

昨日の休みは、息子のオープンキャンパス見学に付き合って(無理矢理同行して?)都内まで電車で出かけてきました。

日曜日ということもあり、比較的電車は空いていて座れたので、久し振りの電車内読書を堪能しました。電車の中って、適度な雑音とリズム的な揺れがあるので、私にとっては読書に集中するのにとても都合がよいのです。(あんまり静かすぎるとかえって気になるタイプなので…。)

というわけで、都内までの往復の時間で読んだ本、

  ルサンチマンの哲学 / 永井均著 河出書房新社

でした。

 

ルサンチマンの哲学 (シリーズ 道徳の系譜)

ルサンチマンの哲学 (シリーズ 道徳の系譜)

 

 本書は、永井均によるルサンチマン(怨恨)をメインテーマとしたニーチェの読み解きです。著者の言説は、いわゆる多数派的な解釈でないところが面白いし、ひとつひとつがすんなりと腑に落ちるように感じます。

ニーチェ自身がカントの思想を哲学的には全く理解していなかったということ、特に存在論や認識論をニーチェが主題として語ろうとしたことは一度もなかったこと、にも関わらずその後の哲学史研究家たちの多くがニーチェの仕事を伝統的な狭い哲学概念に取り込んで解釈し勝手に評価していること、等々の主張は改めてニーチェの思想を読み直す上で大変参考になりました。

ルサンチマン永劫回帰は、ニーチェを読む上で既に語り尽くされているように思っていたのですが、それは著しい誤解であったことが本書を読んでわかったように思います。

 

哲学って、何か難しいとか、何の役に立つのかって思う人もたくさんいると思うし、私自身もそんなふうに考えることもありましたが、結局、考える行為そのものが哲学の本質ですし、考える行為自体が面白い。

そもそも哲学に答えなんか最初からないに等しいので、そういう意味では気楽に取り組める学問であるのだろうと思います。

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