本と音楽と珈琲の日々

読書録、日々の出来事、雑感をつれづれに

ZK 6月中の読書のまとめ

だいぶ、ご無沙汰してしまいました。

梅雨に入ったというのに、あまり梅雨らしからぬ空模様。今日も夏空のような晴れの空が広がっています。

さて、6月中に読んだ本の感想をまとめてアップしました。振り返ってみると、6月は読書に充てられた時間が少なく、あまり冊数は読めませんでした。

でも、以前からずっと読みたかった伊藤計劃の「虐殺器官」を読めたのは私にとってはかなりの収穫。

世の中に数多くの作品が発表されている中で、真に読み応えがあり、読む価値のある本に巡り合えるのは、実は奇跡に等しいのかもしれません。

今月もまた、素敵な作品に巡り合えますように。私にも、皆さんにも。

 

2014年6月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:1879ページ
ナイス数:668ナイス

夫婦善哉夫婦善哉感想
タイトルのとおり、夫婦は善きものかなと感じさせる人情味溢れた話であった。そしてそれは、遠く過ぎ去った時代を彷彿させる物語でもあった。どうしようもない夫とそんな夫の放蕩に懲りない妻と、結局はどっちもどっちで、まあ、二人がそれでよければ良いじゃないか、夫婦とはそういうものさと、妙に納得させられた。中々に夫婦とは難しい。
読了日:6月29日 著者:織田作之助


高瀬舟高瀬舟感想
短い中にほんの少しも緩みのない鋭い切れ味の文章だった。二人を乗せた高瀬舟が暗い川面を音もなく滑り行くラストシーンは、まるで映画のように強烈に読み手の視覚に訴えてくる。
読了日:6月29日 著者:森鴎外

 


山月記山月記感想
高校生の息子が国語の授業で今やっているということだったので、何十年か振りに再読した。虎になってしまった主人公が旧友に再会し、自らの身の上とその心中を独白する物語である。短編ながら、無駄の一切ないその文章は冴えに冴え、読み手の心に鋭く切り込んでくる。主人公の悲哀が胸に染み渡る。読後、作者の筆力に改めて感動した。名作はやはり長い年月に晒されても一向に輝きを失わない。
読了日:6月25日 著者:中島敦


数学でつまずくのはなぜか (講談社現代新書)数学でつまずくのはなぜか (講談社現代新書)感想
なるほど、学生時代に自分がどこでつまずき、どこで挫折したのかよくわかった。数学は面白い、今になって思えば、ではあるが。つまずかないためにはどうするか、どのように理解すべきかを懇切丁寧に解説してくれている。この種の本が学生時代にあれば、とか数学の授業でこのように教えてくれれば、等と思うが、しかし、それはやはり学校教育においては無理なことなのだろう。筆者自身が本書の中で述べているように、「学校数学が厳しい規範を要求する」ことは(→)
読了日:6月22日 著者:小島寛之


結果がすぐ出る時間術 (仕事の教科書mini)結果がすぐ出る時間術 (仕事の教科書mini)感想
スケジュール・タスク管理、手帳術などアイデア満載。ひとつひとつにはそれぞれに頷ける点は多いが、目新しいものは特にない。さて自分にマッチした方法は、と考えるとなかなか難しい。やはりこれらをヒントに自分自身で探さねばならないのだ。要は時間の無駄を探して、効率化することで残業しないでも効果を上げようということに尽きる。時間の使い方をデフラグするということ。とりあえず、試行錯誤。
読了日:6月22日 著者:


哲学史のよみ方 (ちくま新書)哲学史のよみ方 (ちくま新書)感想
著者が序文で書いているように、哲学史の観光ガイドといった感じの本。それもありきたりの定番観光コースではなく、「ああ、こういうルートもあったのね」と思わせるちょっとマニア好みのコースに連れて行ってくれる、そんな本だった。途中、時折、立ち止まっては、読み手に「お客さん、ここを見落としちゃいけませんよ」と見所をこっそりアナウンスしてくれる。そして巧みにその時代時代の哲学者の思想の橋渡しをしながら、(→)
読了日:6月21日 著者:田島正樹


若者の法則 (岩波新書)若者の法則 (岩波新書)感想
精神科医香山リカによる若者論。大胆に若者の思考・行動を分析し、現代の若者の行動様式を法則化しようと試みている。発刊は2002年、今から既に12年も前である。当時の若者は既に若者ではなくなっているだろう。しかし、本書で描かれている若者の特性は、現在においても大いに首肯できるものばかりだ。つまり、若者とは時代の流れに左右されることなく常にある一定の特性を有している世代のことを指すのかもしれない。「不登校の中学生、高校生との付き合いで私が思ったのは、彼らにとって、実際にはほとんど行けない学校は、そこに(→)
読了日:6月17日 著者:香山リカ


あげくの果てあげくの果て感想
曽根圭介作品、初読み。これって果たしてホラーなのだろうか。確かに物語はエグくてグロい、それが読み手を惹き付ける。しかし、それをホラーと呼ぶのだろうか。個人的にはラヴクラフトクトゥルー神話のような物語を期待していたのだが。あるいは本書がいずれも短編であるためか。なかなか感想が難しい。いずれにせよ、これが現代日本のホラーであるならば、私自身のホラーに対する概念がいささか狭く固定化していたのだろうと思う。
読了日:6月13日 著者:曽根圭介


虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)感想
ハーモニーに続き、伊藤計劃作品読了2冊目。近未来を描くSF作品であるが、単にSFに留まってはいない。かなりの部分で哲学的である。「人間は生きているときから物質」「わたしとは要するに言葉の問題でしかない」「すべての仕事は人間の良心を麻痺させるために存在する」等々。最後まで読み終えて、タイトルの意味に気づく。本作は伊藤計劃のデビュー作ではあるが、作者の魅力が遺憾なく発揮された代表作であり、ある意味、集大成でもある。
読了日:6月9日 著者:伊藤計劃


読書脳 ぼくの深読み300冊の記録読書脳 ぼくの深読み300冊の記録感想
立花隆によるブックレビュー。著者はもっと難解な専門的な本ばかりを読んでいるというイメージがあったが、本書で紹介されているものはかなり読みやすく柔らかい本が多い。前半の石田英敬氏との対談の中で著者自身が語っているように本書は本の批評ではなく、読み手に買いたいという気持ちを起こさせる紹介に徹している。そしてその試みは見事に成功している。最後まで読み終わった後、もう一度最初から頁をめくり、自分が読んでみたいと思った本の紹介頁に付箋をつけてみた。『人類の足跡10万年全史』『カーブボール』(→)
読了日:6月7日 著者:立花隆

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